息子が産声をあげたその日、 父は村中を敵に回し、そして去った それから30年 女手ひとつで育てられた進一 息子に注がれるその母の愛情は異様なものだった 母に依存しなければ生きていけない、青年はそういう成長を遂げる 触れてはいけない父・広志の存在 しかしその「血」は確実に彼につきまとう 「君がいるだけでみんなが不幸になる」 「悪魔の子」だという 顔も知らぬ父の呪い それは30年後、息子を村から追いやる事になる 初めて訪れた街、母がいない生活 進一は牧師・源一郎の教会で暮らすことになる そしてその教会で暮らす別の男・・・それは父・広志だった 互いを父、子と知らず接する二人の男 そして互いに思う 「こんな人間と関わりたくはない」 母に依存し、自分では何も出来ない男・進一 人を欺き、裏切る事でしか生きていけない男・広志 しかし「血」はいつしか二人を引き寄せていく 「お前は一体誰なんだ?」 表面は全く違う、しかし芯の部分に感じる共通点 その「血」が何よりの証拠だった こいつは「父」「息子」だ いまさら父子を始める理由もない そして何よりこいつを身近で見ている事が・・・苦しい 「いつか不動産屋でも一緒にやるか」 そう口約束をして、二人は互いの道を歩き始める 再び交わるあてなどなかった、何より自分が変わる事が出来ない事を互いに知っているから 口約束は所詮口約束だから しかし進一は変わり始める 果たされる訳のない不動産屋経営の約束のために 学び、働き、生きるようになる 「せめて自分は変わる」 何もなかった進一の人生に一筋の光が差し込む 数年後 「もしもし」 「俺・・・進一・・・宅建の資格取れた」 受話器の向こうで父は声を殺して喜んだ その手は油で汚れている 人を欺いて生きる事を、広志はすでにやめていたのだった しばらくして広志が進一に会いたいという 連れていかれた場所は空き店舗だった 「ここで始めんだ」 口約束が現実味を帯び始める 変わることが出来るかもしれない 生まれて初めて希望の予感が二人を包みこむ
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