昭和初年。深川界隈で声望のある梅津組は解散した。組長の梅津勇造が区会議員に立候補するためである。しかし、投票日の前日、梅津は何者かに殺された。平助や庄八たち子分は対立侯補の勝元とその背後にいる新興ヤクザ大崎の仕業とにらんだが、何の証拠もない。しかも、梅津組の家と土地が勇造の残した借金の抵当に入っていると大崎に言われ、平助たちは苦境に陥った。考え抜いた末、平助たちは弁護士飯沼に相談するがどうにもならない。そのうちに老侠客弥三郎は単身大崎組に殴り込み、壮烈な最期をとげるという事態にまでなった。そんな時に、勇造に破門された浩次郎が帰ってきて、この有様を知った。そして、浩次郎は何故か大崎組に寝返った。平助たちは怒ったが浩次郎は親分殺しの犯人を突きとめるため、ワザと憎々し気な言葉を平助に吐いて、大崎の身内になったのである。そんな浩次郎を、梅津組の世話になっている料理屋の娘千代がつらい思いで見つめていた。ある日、浩次郎を訪ねて、岩上という男が現われた。兵隊の時の親友同士だった。料亭で旧交をあたためる二人だったが、しかしおいくという芸者を見て、岩上は色を変えた。除隊になって帰ってみると行方不明になっていた恋人だったのだ。岩上は、おいくが彼のバクチの借金のために大崎の手で芸者にされた事情を知った。岩上の胸は激しい怒りに燃え、浩次郎に大崎を倒すことを誓った。そして浩次郎は親分殺しの犯人を探すため、そして、すべての事情を知った岩上は平助たちを助けるために別れた。やがて大崎の悪事の一切があばかれた。岩上が公証役人唐沢の証言で、土地及び建物の担保証書が盗難印鑑による不正証書であることが分ったのだ。また、浩次郎も、大崎の命令で勇造を殺した星中を突きとめた。勇躍した平助たちは岩上、浩次郎と共に大崎組に殴り込み、凄まじい乱闘を繰り展げたが、やがて、乗り込んできた警官隊に、大崎は逮捕され、岩上も乱闘の罪を一人で負って手錠をかけられた。その姿を、浩次郎や平助たちは感謝の目で見つめるのだった。
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